お昼から・・・

今年の夏から秋にかけては例年にない高温、局地的な大雨。
立冬も過ぎて1か月程度たつ。今年の冬は寒いのか、暖かいのか。

ちなみに夏が好きか、冬が好きかという質問が来れば、サカグチは瞬時に「夏」と答える。冬は苦手で、冬のお供はコタツ。コタツがあれば寒い冬でも乗り切れる。

ところで、話は替わってイチゴの話。冬場にもう少し回転よくイチゴを収穫できたらと感じている人は多いと思う。この問題を解決するために、「お昼にこんなことをしてみたら」というお話しである。

お話しとは「日中加温」である。これに併せて、光合成速度を律速する要因は温度、二酸化炭素濃度、光強度であることを頭に入れておくようにする。冬場の曇天時(ここでいう曇天とは光合成をするには十分な光強度があるというのが前提)は日中と言えども、かなりハウス内気温が低下する。

成り行きの温度管理をする場合が多いと思うが、ここで日中18℃(イチゴの生育適温は18-25℃)になるように加温し、イチゴの成熟には積算温度が関係するため、成熟日数が早まり、日中加温により光合成速度が速くなり、転流速度も速くなり、収量が増加する。

これを読むと、ただ日中に加温すればよいという風に思えるのであるが、さらにもう一手を加える。二酸化炭素施用である。

冬場の曇天時は、ハウスのサイドは閉のままである。イチゴが光合成するために、ハウス内二酸化炭素濃度がどんどん減っていく。光強度、温度は十分であるが、今度は二酸化炭素が光合成速度を律速させる原因になる。

そのため二酸化炭素施用ができれば、さらに効果を得ることができるのではないだろうか。雨の日にも日中加温をする必要があるのかという質問があるように思うがこれは「不要」である。光合成をするための十分な光がないところで、加温するとむしろ呼吸による消耗の方が多くなると考えるからである。

今回はお昼からこんなことをというお話をした。それとは逆になるのであるが、サカグチはお昼からと聞くと、昼寝をしてしまう(頻繁)、焼き肉を食べる(年に1度あるかないか)、お酒を飲む(お正月くらいか)と罪悪感をもってしまう。

みなさんはいかがだろうか?

最後に
おかげさまで、Dr.サカグチのひとり言、5年目に突入しました。不定期にも関わらず、私の想い、思考をぶつける場をいただき、お付き合いいただいている方々に感謝申し上げます。
ありがとうございます。

引用文献:
光武美和. 2024. イチゴ’さがほのか’の促成栽培における日中加温の増収効果.JATAFFジャーナル 12(1) : 9-10.
田川ら. 2021. 昼温および夜温がイチゴ‘さがほのか’の 13C-光合成産物の 転流・分配に及ぼす影響.  園学研 20 (1) : 95-100.
田川ら. 2022. 冬季における日中の加温がイチゴ‘さがほのか’の収量,光合成 および 13C-光合成産物の転流・分配に及ぼす影響.  園学研.21 (1) : 65-71..
徳永ら. 2019.  日中加温と熱交換換気の併用が促成トマトのハウス内環境, 商品果収量および品質に及ぼす影響.  福岡県農林業総合試験場研究報告 5 : 27-33.