おてんとう様に願いを

梅雨がくれば思い出す。
サカグチが北海道に行くたびにいつも雨、それも半端ない雨。
「北海道には梅雨がないのにおかしい。これはなんか特別な能力だ。雨が必要な時には雨乞いにきてもらおう」と真剣な顔で言われたこと。
梅雨空の合間にワサビについて語りたい。

緑色植物は光を使って栄養分をつくる光合成をしている。光合成は光の強さ、温度、二酸化炭素濃度などに依存している。当然光合成には水が必要なので、水が足らないというのも光合成に影響する。

ここでは光に注目する。

光をどんどん強くすると、光合成はあるところまでは高くなっても、それ以上高くならないところがある。これを光飽和点と呼ぶ。
光飽和点は植物によって異なる。前回ワサビは「日陰が好きだ」という話をした。では実際ワサビにはどの程度の光の強さが必要なのか?

静岡県農林技術研究所からその答えとなる試験結果が提供されている。

「伊づま」という品種を屋内で栽培したところ、光の強さ:光合成有効光量子束密度200-300µmol/m2/s以上としても光合成量は増加しなかった。
あまり聞きなれない言葉を使ったが、よく光の強さを示す言葉に照度(ルックス)が用いられる。
照度は人の目で感じる強さである。植物の光合成に関する光の強さは光合成有効光量子束密度を用いる。植物の光の感じ方と人間の目の光の感じ方とは違うということをご理解いただきたい。

おおよそであるが、200-300µmol/m2/sというのを人間の目で感じる光の強さに換算するとおおよそ15,000lx程度。JIS照度基準によると普通の視作業に必要な明るさは500lxであるため、曇りの時の明るさがあればワサビにとっては十分の明るさということになる。

ワサビは曇りくらいの明るさが好きなようであるが、サカグチはさんさんキラキラの晴れが大好き。
晴れ男になれるようおてんとう様に願いを。

参考文献 静岡県農林技術研究所. 2021. ワサビ新品種‘伊づま’の生育に適した光合成条件
https://www.agri-exp.pref.shizuoka.jp/photo00306.html

日本工業規格 JIS Z9110:2010x
https://kikakurui.com/z9/Z9110-2011-01.html
表5−基本的な照明要件その1(屋内作業)

 

追伸
前回ワサビに関する情報提供をみなさんにお願いした。
そうしたところ貴重な情報提供をしていただけた。
ありがとうございました。いつか紹介をさせていただきます。